三陸沿岸被災地 その2・山田町船越に戻る

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前須賀海岸へ・・・

再度R45に出て、昔懐かしい狭い道を下り踏切を越えました。列車は通っていないし来ないと知りつつも、一旦停止をして左右を見ます。線路はすっかり錆びて草だらけ、ここを列車が通るのは何年かかるのだろうなあと思うと悲しくなります。

かつて坂道の途中に三浦医院(幼かった息子がお世話になりました)がありましたが、今は何もありません。そのまま進み田ノ浜方面に向かい、船越小学校入り口付近に広場があったのでその場所に車を置きました。
14:23 前須賀海岸・・・

かつては道路から下に砂浜がありましたが、今は防潮堤があり上らないと海は見えません。ここも懐かしい思いで一杯の場所で、昭和39年船越中学校に赴任した時に見たワカメの口開け風景を想い出します。

山ノ内側の防潮堤は津波で破壊したが、小学校前の堤防はそのままでした。しかし、砂浜がもっと広かったはずなのに狭くなっていますし、打ち上げられたゴミなどが山積みになっていました。
前須賀海岸防潮堤から 1・・・山ノ内方向を望む。
前須賀海岸防潮堤から 2 前須賀海岸防潮堤から 3
前須賀海岸防潮堤から 4 防潮堤の上からぐるりと周囲を見渡しました。3月11日の大津波までは、防潮堤の下の道路がR45号までつながり、ほとんどの方がこの場所を通っていました。

今は途中で道路が決壊し、一部が海続きになっていて通られません。中央に見えている道路は、昔からあった駅まで通じる道路でした。道路周辺は海水が残っている場所と、瓦礫の集積所になっています。
前須賀海岸防潮堤から 5・・・狭くなった砂浜。 この堤防を越えた大津波が、かなり小高い場所にある小学校まで波が襲ったと言いますから驚いてしまいます。想像も出来ない高さまで津波が押し寄せた事になります。

小学校は立ち入り禁止になっていました。かつて訪れた船越小学校は、眼下に広がる船越湾と四十八坂の眺めが最高であったことを想い出します。

狭くなった砂浜には片付けられているとは言え、堤防には漁船がのっかていますし、浜には漁具等が散乱していました。
前須賀海岸防潮堤から 6 前須賀海岸防潮堤から 7・・・荒神神社の方向を望む。
上空から捜索中のヘリ

たまたま見たのですが、湾内をヘリコプターがホバリングしながらゆっくりと低空で移動していました。ここには写っていませんが、海上にはボートが出され上空からの行方不明の方の捜索をしていました。


田ノ浜地区へ・・・

船越小学校下から道路沿いに走り田ノ浜方面に入りました。道路脇にある小高い木にの上に、ホタテ養殖のかご網が何個もぶら下がっています。この木の上まで津波に襲われたのかと思うと、波高がどのくらいあったのか予想もつきません。

養殖かごは海底に沈めて置いたものではなく、これから使うために用意していたものが流されたと思います。撮影しようと思いましたが、直ぐ側で網の手入れをしている漁師の方が何名か居り車を止められませんでした。

14:30 船越漁港北側・・・

船越漁港北側に防潮堤の破壊している場所があり、マイクロバスに乗った方々が見学していました。どうやら役所の方々の視察のようでした。巨大な防潮堤が、置かれたその場で横転しているのに驚きました。

一般的に言って海岸に築かれている防潮堤は、ダムの堰堤などと違い台形のブロック単位で置かれていることに気がつきました。このブロック単位で津波のエネルギーを受けて、陸側にごろんと90度横転しています。

横転した防潮堤 1
横転した防潮堤 2 横転した防潮堤 3
横転した防潮堤の底の部分 ブロックの底部・・・

常時水を張っているダムなどの堤防とは基本的に違うこと、今までほとんど気にしていなかった防潮堤の構造に初めて気がついたことになります。

それにしても、見事にごろりと横転するものです。巨大ブロックの底は、土中に鉄筋パイプや土管等を埋め込まずに平らになっていました。

この場所は、大津波のエネルギーをもろに受けたと想定されます。
横転した防潮堤 4 横転した防潮堤 5
防潮堤脇に集められた漁具等 防潮堤の端が切れており、そには流されて散乱した漁具等が集められています。後ろの小高い場所に木が生えていますが、この木のかなり高いところまでホタテ養殖用の篭が引っかかっていました。
防潮堤水門と傾斜した部分 防潮堤水門部分です。この防潮堤は、チリ地震津波時の波高を基準にしていますので、高さは6mほどあると思われます。

防潮堤の上の方は海側に折れ曲がり、ここで押し寄せた津波をはじき返すはずでしたが、想像を絶する10m以上の波高には耐えられなかった場所もありそうです。

集落を津波から守る防潮堤、その重量はかなりのものだと思われます。津波というと巨大な波のように思いがちですが、太平洋から押し寄せる膨大な海水の移動であり、とてつもないエネルギーを持っています。
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