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       陸前高田市・鶴樹神社例大祭


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梯子虎舞奉納会場の様子です。太鼓やお囃子が鳴り響き、これから奉納舞の演技が始まります。
根岬梯子虎舞を撮影するのは今回で三回目になります。一回目は平成19年10月の黒崎神社例大祭の時であり、二回目は平成21年5月10日の陸前高田市体育館でライオンズクラブ総会での歓迎アトラクションでの演技でした。また資料によると、根岬梯子虎舞は陸前高田市広田町根岬地区に鎮座する鶴樹神社例大祭(四年に一度)と黒崎神社例大祭(四年に一度)と交互に奉納されるとありました。

鶴樹神社例大祭は今年になるのですが、開催直前になって陸前高田市のHPに記載があり10月2日と言うことが分かりました。鶴樹神社は根岬地区の人々の守り神であり、地域に伝承される梯子虎舞を奉納し五穀豊穣大漁感謝と祈願、悪魔払いの神事を行うものであります。

奉納梯子虎舞の奉納演技は三回あり、撮影したのは最初の10時からの場面でした。当日は秋晴れの好天に恵まれて、下から見上げる虎舞は吸い込まれるような青空の下で舞われました。今までで最高の天候条件でした。

また、例大祭ですから神輿渡御もあり、今回の内容は梯子虎舞と神輿渡御の両方をまとめてみました。今回は三度目の撮影になるので、由来や虎舞の詳細説明は省略します。参考として前回の記事二つを紹介しますので、お知りになりたい方はそちらを参照してください。

平成19年黒崎神社例大祭・・、平成21年根崎梯子虎舞・アトラクション公演


おなじみの梯子の様子です。 根岬漁港広場にて・・・

7時30分頃に家を出て、根岬漁港に着いたのは九時二十分頃でした。神社入り口にある大きな幟旗を見ながら、漁港広場入り口まで入ったら「歩くのに邪魔にならなければどこにおいても良いですよ・・」とのことでした。

車を置き防潮堤入り口から広場に出てみました。それほど人出が多くないものの、広場にはラインが引かれ、堤防前にはおなじみの巨大な梯子が立っています。

撮影場所を決めてから梯子の方へと動いてみました。側で見る巨大な梯子だが、触ってみたらしっとりと湿っていました。新聞報道によると、木の割れを防ぐために事前に海中に浸けるのだと言います。

梯子に舞手と思われる男性が座っていたので、「この梯子はどうやって保存するの?」とお聞きしたら、「このまましまっておく小屋があります」とのことでした。

四年に一回と言いますか、黒崎神社と鶴樹神社の掛け持ちで使用するのですから毎年使用するものではありません。だから使用する前に、海水にどっぷりと浸けて木に粘りをもたせるのでしょう。手にしっとりとした感触は、さっぱ船の感触と同じでした。

支えのロープに翻る大漁旗。 巨大な梯子の根元、その後ろにはこれから登る舞手が控えています。
使用される虎舞頭四組。 テントの中には虎舞の頭が四頭並んでいたので撮影させて頂きました。

前回のトラクション公演の時お聞きしたのですが、虎頭の重さは4〜5kgあるとのことでした。2リットル入りのペットボトルを二本、持ち上げていることになります。
待機中の太鼓と笛の皆さん。 待機中のお囃子と太鼓の皆さんです。中央に虎舞衣装で立つ男性ですが、黒崎神社奉納の時にお見かけした方でした。たしか、根岬虎舞の責任者だったと思います。胸に書かれた文字は「根岬虎舞組」となっていました。

十時少し前ですが、威勢の良い大太鼓と笛の音に併せ、一列に並んだ女性達の小太鼓が打ち鳴らされて一回目の奉納が始まりました。
太鼓と笛が鳴りいよいよ始まります。 威勢の良い小太鼓の女性達、ゆっくりとしたばちさばきです。
梯子虎舞会場の全景です。 梯子虎舞会場の全景です。ご覧のように澄み切った青空の下での奉納演技です。中央右に杉の木があり、その右側の屋根が鶴樹神社になります。

ラインの引かれた広場には誰も入りませんが、この場所は梯子虎舞の後で踊られる場所と、子ども達による七福神舞の場所になります。私達はラインの外側からの鑑賞になりました。

10:00・・・

一回目の奉納演技が始まりました。あまり人出はないし、期待していた解説もほとんどありません。ちょっとがっかりしましたが、地元ならではの自然な演技開始です。

素晴らしい青空にそそり立つ20mの巨大な梯子、最初にするすると登っていったのが三人の「才坊」の皆さん、そして、赤い顔の虎頭と二人が入る長い衣が青空に浮かび上がりました。
一人目の才坊が登ります。
今や遅しと待機している虎の方々。 「才坊」が上に登り切るまでは虎の出番はありません。今や遅しと待機している虎の方々ですが、にこやかな笑顔で話していました。


最初に梯子に登るのは、「才坊」と呼ばれる虎を梯子の上へと誘導する三人の方々です。50段近くある梯子を、手にした扇を振り回しながらすいすいと最上段まで一気に登っていきました。

「才坊」の居る場所は、最上段と中間部、そして梯子を支える下段に陣取ります。
登り切った才坊が手振りよろしく虎を誘います。 正面を向いた才坊、後一人の才坊はやぐらの下にいます。
最上段の才坊、凛とした姿が印象的です。 前回も気がついたのですが、最上段の「才坊」は何故かほっかむり手ぬぐいをしていません。望遠レンズで引きつけていますが、20m程の高い場所で足と膝だけで体を支えますので高度な熟練技です。

拡大すると、緊張した表情が伝わってきます。

梯子虎舞は、一番手と二番手の二組の虎(二人組み)が演技をします。先頭は虎頭を持つ方、後ろが尾の部分の方です。背中の部分の衣は黒っぽいのですが、腹の部分は赤っぽくなっています。

外からは分かりませんが、中からは外の様子が見える構造になっているはずです。獅子踊りなども同じ造りになっています。

「才坊」の扇の振りに誘われて一段一段と上に登っていきます。「才坊」はその場所から動きませんので、虎が近づくと場所を除けなければなりません。

何回見ても緊張する場面は、虎と「竿坊」の狭い梯子の上でのすれ違いです。梯子の枠にしがみついて、虎を上に登らせなければなりません。その間じっとしがみついているのですから、最高に緊張する場面です。

「才坊」の演技は、足で梯子の枠や段に引っかけて体を支えることになります。

梯子を登る虎 1・・・いよいよ虎が梯子を登ります。
梯子を登る虎 2 梯子を登る虎 3・・・中間部にいる才坊とのすれ違い。
梯子を登る虎 4・・・すれ違いの拡大です。手で梯子の枠にしがみつくだけでした。 梯子枠にしがみつく「才坊」の拡大です。

下の画像は「才坊」と虎との競り合い言いますか、体の振りと虎の動きを対比させてみました。「才坊」の動きははっきりしますが、衣の中の虎を扱う方の動きは見えません。

梯子の段を気をつけてみると、足と膝を梯子段に押しつけて体を支えているように見えます。両手は頭を持ち上げているはずですから不安定な姿勢になりますね・・。
梯子を登る虎 5・・・足で体を支えてこのような演技をするとは驚きます。 梯子を登る虎 6
梯子を登る虎 7 最上段にいる「才坊」と登ってくる虎との間がどんどん迫ってきました。先ほどと同様に、梯子の脇に寄って枠にしがみつき、虎を上へと送り出します。

「才坊」の脇を通り抜けた虎は、一気に最上段へと進みます。ふと心に浮かんだのが、命綱代わりになる長い衣かなあと思ったことでした。
梯子を登る虎 8・・・最上段の才坊とのすれ違い、見ていてはらはらします。 梯子を登る虎 9
梯子を登る虎 10・・・最上段に立つ虎、これから頂上での演技が始まります。 最上段に登り、周囲を見渡す虎です。虎頭役の方は上から二段目をがっちりと踏み、最上段で膝を固定させています。程なくして頂上での演技が始まりました。
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