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           オニグモの捕食


     

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動けなくなったセミに乗り、次の瞬間太い糸の束を巻き付ける寸前です。
オニグモの捕食・・・

夏の日の夕方でしたが、涼しくなったので家の周りを歩いていた時のことです。どこからとなくセミの鳴き声と羽音が聞こえていました。軒下をひょいと見たら、造られたばかりのオニグモの網にひっかっかてもがいているアブラゼミが目に入りました。夕方になるとオニグモの習性としてあちこちに糸を張り見事な巣を作ります。まだ、肝心のクモが見えていないので慌てて家に入りカメラを持ち出しました。

巣に引っかかったばかりですから逃がしてやれば良かったのですが、好奇心と撮影しなくてはの心が先行しセミにとっては可哀相な出来事になりました。

夏の間は大きな鳴き声で子孫のDNAを残し、その体は地面に落ちアリのエサになり、地面に落ちなければクモの巣にひっかかり、クモのエサになります。昆虫の世界は残酷に見えますが、食う物と食われる物のバランスがとれ、それぞれが役にたっているのが生き物の世界と言えます。

以前のことですが、用事があり都内のホテルに宿泊したことがあります。夏の日をうるさいくらい鳴いていたセミたち、朝になると道路に一杯落ちていてセミの死骸を踏みつけて歩いたことがあります。踏みつけられてゴミになるより、カマキリやクモに食われるセミは幸せなのかも知れません。

ここでは、クモの網に引っかかってから15分ほどでオニグモの餌になっていくアブラゼミの姿を撮影しました。残酷と言えば残酷ですが、これも生きていく日常の過程であり仕方の無いことだと割り切って画像化しました。

※厳密にはクモは分類上昆虫とは違います。捕食されているのがアブラゼミなので昆虫のカテゴリーに位置づけてい
  ることをお断りします。

セミを押さえつけるクモ 16:03・・セミを押さえつけるクモ

カメラを持って戻ってきたら、アブラゼミほどのオニグモががっちりと上に乗り押さえ込んでいました。

ここでは、オニグモとアブラゼミの様子を正面から捕らえてみました。セミのあきらめきった表情、上に乗りがっちりと押さえ込み噛みつき始めているクモ。

拡大画面ではクモの顔が見えてきます。鋭い牙がセミの身体に食い込む寸前です。

横から見た様子 16:04・・横から見た様子

押さえ込まれて間もないのでセミは暴れ出しますが、羽が糸に絡みつき動きがとれないようです。羽が動いているのが分かります。
がっちりと噛みつき毒液を入れます。 16:07・・より深く噛みつく 

クモが噛みつく場所は、セミの胸部と腹部の境目の柔らかい部分になります。この場所に鋭い牙を食い込ませ、毒液で麻痺させ強力な消化液(唾液)をセミの体内に注入し体内の臓器を溶かし込みます。

「生き血を吸う」という風にもいわれるが、実際には消化液を獲物の体内に注入して、液体にして飲み込む(体外消化)ので、食べ終わると獲物は干からびるのではなく、空っぽになっている。小さいものはかみつぶして粉々にしてしまうこともある。(※ウイキペディアから引用)
動けなくなったセミの腹部。 16:08・・裏側の腹部から見た様子

雄ゼミです。ここまでくると鳴き騒ぐこともなくなり動きが止まります。


16:10・・クモが一旦放れセミの上に移動

毒液が回り麻酔状態になり動きが無くなると、一旦セミから離れ巣糸の張りを点検している様に見えました。下の二枚の画像を見ていてそんな感じがしましたが、実際は側で動き回る私の存在を察知し退避行動を取ったのかもしれません。
一旦セミから離れたクモ するすると寄っていきます。
別の場所で押さえているクモ。 16:10・・再度セミに近づいたクモ

がっちりくわえ込んでいた場所(腹部と胸の境目)ではなく別の部分に接近しました。セミが動かないことを確認すると、次の動作(クモの糸でぐるぐる巻き)に移ります。

尻から出ている糸が太くはっきり見える様になります。
糸に足をかけこれから太い糸をかけます。 16:10・・背中に乗ったクモ

動けなくなったセミに上に乗り、クモの巣糸を確認し次の瞬間太い糸の束をかけます。 クモの大きさとセミを比べると、ほとんど同じと言うことが分かります。

糸が巻き付けられる 1 16:10・・糸を巻き付ける

ここからは捕獲した獲物をがっちりと糸で丸め込む様子をまとめてみました。クモの動きが早いので、正確なピント合わせが難しく、一部にしか合わないところがあります。

それにしても、一気に凄い量の糸がセミにかけられますが、相手のセミが大きいので簡単にはいきません。
糸が巻き付けられる 2 動けなくなったセミのあちこちを移動し、尻からまんべんなく糸を出してくるんでいきます。

時間にして二分間ぐらいの糸かけです。小さな昆虫ならばくるくると巻き込んでしまいますがそうはいきません。
糸が巻き付けられる 3 糸が巻き付けられる 4
糸が巻き付けられる 5 糸が巻き付けられる 6
糸が巻き付けられる 7 糸が巻き付けられる 8
糸が巻き付けられる 9 糸が巻き付けられる 10
糸が巻き付けられる 11 二分ぐらい経ちましたが、まんべんなく糸で覆われてきました。

ぼやけているとは言え、大きなセミの目が見えています。目は何かを訴えているはずですが、そのことは気にしない様にしていました。

クモの巣に引っかかったのが運の切れ目であり、仕方ありません。
糸が巻き付けられる 12 胴体から羽の方まで糸が伸びてきています。クモの動きは激しくなり、一気に丸め込むようです。
糸が巻き付けられる 13 一休みでしょうか、ほぼ吊された形になりました。ここまで二分ぐらいしか時間が経っていません。
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