2010岩手藤沢町長徳寺・不動尊蘇民祭に戻る

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                 ・不動尊蘇民祭>その2

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別当・鬼子登り・・・

9:50頃・・・

駐車場でのことですが、隣の軽トラの男性が背広の上に白い半纏を着始めました。そして、木の皮を剥いた物を半纏の上に巻いています。見ていて気になり、直接お聞きしてみました。「何の木の皮ですか?」、「藤蔓の皮だよ」、「これは何か意味があるのですしょうか・・?」とたずねたら、「襷と帯の代わりだよ」・・とのことでした。

地下足袋を履いているのを見ていたら、「本当はわらじだけど、これにした・・」とのことです。「今日は行列の先頭を仰せつかってさあ・・」と言う男性の姿は、法被の下は背広姿でした。「これで良いからさと言われたので・・」と笑っておられました。「総代の方ですか?」とお聞きしたら、「世話人の代表です・・」とのこと。頭には白手ぬぐいをで鉢巻きをしています。色々お聞きしたので「新聞社の方ですか・・」と聞かれ、「テレビも来るよと言ってたよ」と教えられました。お聞きした内容がしつこかったのかなあと反省した私です。

行列は松木松明、葦松明、別当鬼子を背負った本部長(?)が先頭集団で、その後ろに三列になって続きます。中央の列が護摩木・お札・蘇民袋・供物、右側に鬼子の列、左側に手木と角灯を持った世話人、最後が僧侶の順番のように見えました。

※別当・・・、寺院ですから僧侶のことになります。鬼子・・・、この地区(檀家)で春に小学校に入学する子ども。実際は
  もっと幼い子どももいます。と言うことは、別当鬼子は長徳寺住職の子どもさんになりますね。靴の色から見て女の
  子ですが、小学校入学児には見えませんでした。

※本部長・・・、行列の指揮をし別当鬼子を背負っている方ですが、この呼称は解説書である「岩手の蘇民祭」の記事
  を参考にしております。

10:15頃鐘が鳴る・・・

本堂に吊してある鐘を若い僧侶が叩き始めました。しばらくの間、鐘の音が響いていました。いよいよ行列の始まりになります。
出発の合図の鐘を叩く僧侶。
本堂入り口を見ていたら、鬼子の中に赤い襷をした子がいます。本部長(?)の男性が、その赤い襷の子どもをおぶっていました。

他の子どもの取り扱いとは違っていたので、「何か意味があるのですか・・」とお聞きしたら「別当さんの孫なので特別ですよ・・」とのことでした。

鬼子のちびっこ達は、背中に大きな木彫りの鬼面を逆さに背負っています。一枚の板を彫り抜いた物で、かなりの重量があり、ちびっ子達には重そうだと思いました。
赤い帯を手にして本堂入り口にやってくる本部長。
別途うさんの鬼子に帯を掛けて・・。 よっこいしょと背負います。鬼この笑顔が印象的でした。履いている靴の色から判断して女子ですね。

隊形を整える皆さん・・・

赤鉢巻きの鬼子を背負った本部長(?)の方、鬼面を逆さに背負った世話役の方の姿が見えています。
庫裏の前に整列する皆さん。
護摩木が先頭で、お札、蘇民袋、果物と続きます。 10:28頃出発・・・

少し前に整列した行列は、サイトギに向かって動き始めました。先ほどの男性ともう一人の方が先頭で、先頭は二列になって進みます。先頭の方の持つ松明と次の方の持つ葦の束のに火が入り、掲げながら一歩一歩進みます。

先頭集団の後ろからは三列になり、一番最後が僧侶の皆さんでした。
別当・鬼子登り 1・・・松の木松明に火が入ります。 別当・鬼子登り 2・・・葦の松明に火が移されます。
別当鬼子を背負った本部長(?)が右手に持った手木を振り上げ、「ヨッサー」と気勢を上げると周囲にいる行列の人から「ヨッサー」と声が上がります。そしてゆっくりと東側にあるサイトギまでゆっくりと進みます。

先頭の松明の男性は重そうですが、かなり気合いが入りしっかりと歩いていました。行列は、不動明王堂への供物や御札、蘇民袋などを持って続きます。
別当・鬼子登り 3・・・道を浄める日は四個になります。
別当・鬼子登り 4 別当・鬼子登り 5
サイトギ側から見た行列の様子です。庫裡から約40m位あるでしょうか、松明の火で道が祓われ静かに進んできます。 別当・鬼子登り 6・・・サイトギ側から見た行列。手木を振り上げかけ声が上がります。
別当・鬼子登り 7 別当・鬼子登り 8・・・重い松明を左右に振って道を祓い清めて進みます。

行列の先頭が、不動明王堂下に組まれたサイトギにやってきました。ここから時計回りに三回回ります。先導役の男性も、背中に逆さにした鬼面を背負っていました。

笑いながら話されたことでしたが、「以前のことだが鬼面が足りなくなり作ったが、今は子どもの数が減ってきて俺たちも背負うの・・」。なるほどと納得しました。

どこでも子どもの数が減り、行事参加の子ども達がいなくなり苦労しているのだなあと思わされました。

サイトギの廻りを回る 1・・・行列はこれから時計回りに三回回ります。
サイトギの廻りを回る 2・・・本部長が手木でサイトギを叩いています。 サイトギの廻りを回る 3・・・角灯を持った方々が続きます。
サイトギの廻りを回る 4・・・黄色の鉢巻きをした鬼子が父親に背負われていました。鬼の面がかなり大きい事が分かります。 黄色いはちまきの鬼子は、父親でしょうか背負って歩いていました。子どもの背中の大きさと鬼面を比較すると、かなり大きな鬼面であることが分かります。

後ろの男性は、祭壇にあげる供物の餅を持っています。この餅は御祈祷の後で、薄く切られて皆さんに配られます。

※疑問に思ったことは、赤鉢巻きの子は別当さんの子ど
  もですが、黄色鉢巻きはどの役の子どもさんになるの
  でしょうか。一般の子ども達は白色鉢巻きです。
サイトギの廻りを回る 5・・・手を引かれているちびっ子鬼子もいますね。

撮影している私に聞こえたきたのは、周囲の皆さんの会話でした。気になったのが、鉢巻きの下にあるコマ木のことでした。「安産だね」 「お目出度う、お目出度う」と言う声が聞かれました。

また重い鬼面を背負った子ども達へは、「重たかったか」「頑張った頑張った・・」とたずねており、「少し痛い・・」と答えている鬼子達でした。

サイトギの周りを三回廻った頃、本部長(?)の方が持つ手木がサイトギにあてられ、松明を持った方の火がサイトギに点けられます。組まれている乾いた松の木はどんどん燃え上がります。たき付けになる杉の葉が上に見えています。

鬼子の表情と鉢巻き下のコマ木を撮影してみました。鬼子達のコマ木には、厄難消除と書かれてあるようです。
サイトギの廻りを回る 6・・・本部長が手木でサイトギの上を叩いています。
サイトギの廻りを回る 7・・・松明の火が一斉に点火されます。 サイトギの廻りを回る 8
サイトギの廻りを回る 9・・・鬼子達の可愛い表情と、鉢巻きの下にはさんでいるコマ木が見えています。 サイトギの廻りを回る 10・・・コマ木には厄難消除と書かれてあります。
サイトギの廻りを回る 11・・・三回回った行列は正面の不動明王堂へと向かいます。 サイトギの周りを三回回ると、南側にある不動明王堂の石段を登り中に入ります。

この頃になると、サイトギの火は勢いよく燃えてきます。

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