9:15 祭りが終わって・・・
深夜の2時、提灯を携え「カッポ、カッポ」と街道に軽やかなひづめの音を響かせた17騎の荒馬行列でした。初めて目の当たりにした私は、脈々と受け継がれている1300年前からの姿に感動しました。また、側で観ていた同年代女性が「昔は道路に明かりなかったので、幻想的でしたよ・・」。「この行列を見ないと、お祭りの気分がしませんよ・・」と話してくれた言葉が、地元に住む皆さんの祭りを待つ心なのだなあと思いました。
神輿先陣争いが行われるマツリバでは、朝の5時から9時半頃まで、足場の良くない場所に立ちっぱなしでした。腰は痛くなるし足は突っ張るしで大変です。天気が良かったのが幸いで、ガスがかかったり小雨だったりしたら身の置き所がなかったと思います。
しかし、三日間の祭りで動いている方々はもっと大変だったでしょうし、1300年前からのしきたりを守り通し、今に生きる子孫の方々もご苦労様でした。とくにも、袰(ほろ)先陣行列では高齢者の男性が目立っていました。昔ながらの装束や歩くときの所作を間近で見ていると、タイムスリップしたかのような感じさえ抱きます。資料によると、すべての役割はその家に伝わる伝承であり、子々孫々まで受け継がれてきている事を知り、凄いなあと思いました。
郷土芸能伝承等にも同じことが言えますが、生活様式や価値観の変遷により昔ながらの伝統行事の継承が困難になりつつある現代です。伝統継承が大変なのは十分すぎるほど分かりますが、今の姿を子々孫々に伝えていくことが価値ある伝統行事の所以だなあと思うと、畏敬の念が生じてきます。改めて室根神社特別大祭を観て、歴史と伝統の重さを感じることが出来たことに感謝いたします。
・・・古式が守られているのは開催日だけではありません。この祭りで要職を務める神役から神輿の担ぎ手、仮宮を建てる人に至るまで、祭りに関わるすべての役は、室根地区を中心に広域にまたがる氏子や地区の人々できちんと役割分担され、親から子へと代々引き継がれています。
このように、祭りの古い形がきちんと伝えられていることから、昭和60年に国の重要無形民俗文化財に指定されました。(※ダイドードリンコ 日本の祭りから)
最後になりますが、私に撮影場所を教えてくださった記録係の男性に、この場をお借りして御礼申し上げます。 |