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新宮神輿が落下。

7:59 新宮神輿落下・・・

新宮の神輿はバランスがうまくとれないようで、途中で一気に下まで落下しました。案内文章には、・・落下することが珍しくないと・・ありましたが、本当になりました。

見ている観客から、「わーっ」と言う悲鳴に近い声が一斉に上がります。あと少しの所で落下した新宮神輿は、仮宮から離れてマツリバ入り口まで戻っていきました。

落下した神輿はマツリバ入り口まで戻ります。 戻る新宮神輿。
本宮神輿が下ろされますが大変そうです。

そうなると、たとえ引き上げられていたとしても、機嫌を損ねた神輿を呼び戻しにいかなければなりません。

本宮の神輿は地面まで引き落とされますが、高いところに安着し固定されていますので下ろすのも大変です。

地上に降ろされた本宮神輿は、入り口で待機している新宮神輿を迎えに行きます。

迎えに戻る本宮神輿。 一気に下ります。

8:08 仕切り直し先陣争い・・・

ほどなくして、二基の神輿が仕切り直しで再度駆け上がってきました。仕切り直しでは、新宮神輿が先頭になりました。一気に仮宮下まで駆け上がり、今回は双方の神輿が
持ち上げられる横木に固定されます。

最初の時とは違い、今回は固定される様子がはっきりと見えていました。

仕切り直し先陣争い 1
仕切り直し先陣争い 2 仕切り直し先陣争い 3
仕切り直しでは、最初に新宮神輿が引き上げられていました。画面では長い綱に担ぎ棒を結び、四方から引き上げているのがお分かりかと思います。

私の居た場所からは、所定の場所への安着は新宮神輿が先になったと思いました。
仕切り直し先陣争い 5 仕切り直し先陣争い 6
安着した二基の神輿・・・終わったーと手を振っていました。

8:19 二基の神輿安着・・・

二基の神輿が安着し、先陣争いが終了しました。資料によると、神輿仕切り直しの駆け引きは数回行われることもあると言いますが、今回は一回だけで終了でした。

仮宮櫓にいる方、下で見上がる方の表情が和み手を振っているのが心に残ります。三年に一度の「東北名代の荒祭り」と言われるこの祭りです。

実際に神輿を担ぎ、室根神社からここまでの道のりを競いながら降りてきた陸尺の皆さんです。にこやかな笑顔から、「今年も終わったー」の想いを感じ取ることができました。

昔は本宮の神輿が先に着くと豊作になると言われていたようですが、今ではその様なことは言われなくなりました。



8:24 神事と馬場めぐり・・・

仮宮の前で神事が始まりました。簀垣の中は人で一杯になっていますので、その様子ははっきりしません。

神事と併行して簀垣周囲の馬場巡りが始まります。ここでは、目の前を通過する様子を撮影し神官・神役の皆さん、荒馬先陣の皆さん、袰(ほろ)先陣の皆さん、武者人形山車の皆さんと区分けしてあります。狭い馬場を三回回りますので、どこが先頭になるのか分からなくなりました。

祝詞奏上 1 祝詞奏上 2
舞姫による舞奉納・・・

神事に続いて可愛い舞姫が中で踊りますが、馬場めぐりの人達が目の前を通りますのでほとんど見えません。かろうじてでしたが、通り過ぎる行列の間から可愛らしい舞の一部が垣間見えたのみでした。
可愛らしい舞姫 1
可愛らしい舞姫 2 可愛らしい舞姫 3
可愛らしい舞姫 4 可愛らしい舞姫 5

神官、神役の皆さん・・・

馬の背に乗った神社の御幣、神官の先頭に立つ裃姿の方が印象的でした。手にした祓え棒をかざして気合いが入ります。
神官、神役 1 神官、神役 1
神官、神役 3 神官、神役 4

荒馬先陣の皆さん・・・

荒馬先陣行列では「御行列・・」の掛け声があり、目の前を深夜に見た馬と武者が通り過ぎていきます。行列が止まると混み合い、人混みに興奮した馬が暴れますので怖いくらいでした。
荒馬先陣 1
荒馬先陣 2 荒馬先陣 3

袰(ほろ)先陣の皆さん・・・

続いて袰(ほろ)先陣の行列で、大名行列と同じ所作が繰り返されます。貫禄たっぷりの年輩男性です。子ども達の参加もあり、鉄砲を担いだり、大きな草履でしょうか履き物を手にしています。子ども達と言えども、装束は大人と同じものです。

観ていて気に入ったのは、箱を担ぐ男性がただ担ぐだけではなく上下に大きく動かしながら歩く姿でした。これは疲れるなあと思いました。
袰(ほろ)先陣 1 袰(ほろ)先陣 2
袰(ほろ)先陣 3 袰(ほろ)先陣 4
袰(ほろ)先陣 5 袰(ほろ)先陣 6

武者人形山車(袰祭り)・・・

そして最後は、地域の出し物と言いますか、武者人形を飾った山車(袰祭り)が続きます。狭い馬場を三回廻りますので、ほとんど動かなくなり事がありました。6基の風流山車が目の前の坂道(道路ではない草地)を引き手の若者達の手により登っていきます。

撮影した画像を見たら5基までは確認できましたが、残りの1基は掲載できませんでした。ご覧のように山車には寄進された方々の名前が数多く貼られてあります。
武者人形山車(袰祭り) 1 武者人形山車(袰祭り) 2
武者人形山車(袰祭り) 3 武者人形山車(袰祭り) 4
武者人形山車(袰祭り) 5 武者人形山車(袰祭り) 6
武者人形山車(袰祭り) 7

それぞれの山車の先頭には、小学校低学年男子が殿様役として乗っています。会場では、「殿様役は○○さんの息子さんです・・」と名前が紹介されていました。

朝から長時間の騎乗になるので大変でしょうが、万が一の事(馬が暴れたりした時)で落馬しないように、鞍に体をがっちりと結ばれていました。


9:12頃 神輿還幸・・・

神事馬場めぐりが終わり、あれほど混んでいた簀垣周辺も人出が少なくなりました。この頃には人々も下に降りて行き、簀垣の前にやっと近づけます。仮宮櫓では安置されている神輿を下ろす作業が始まっていました。簀垣の中に入り、正面から二基の神輿の様子をじっくりと眺めて撮影しました。左側が本宮神輿で、右側の新宮神輿よりも少し高くなっています。

地上に降ろされた神輿は、大先司を先頭に神幸行列組み、町内を十手町はずれの鳥居まで見送ります。このようにして、この祭りのメイン行事である「マツリバ行事」、午前10時頃に幕を閉じます。(※日本の祭りより)

仮宮に安置された二基の神輿。 神輿のアップ、左側が少し高くなっています。
神輿を下ろします。 ゆっくりと慎重に下ろしています。


9:15 祭りが終わって・・・

深夜の2時、提灯を携え「カッポ、カッポ」と街道に軽やかなひづめの音を響かせた17騎の荒馬行列でした。初めて目の当たりにした私は、脈々と受け継がれている1300年前からの姿に感動しました。また、側で観ていた同年代女性が「昔は道路に明かりなかったので、幻想的でしたよ・・」。「この行列を見ないと、お祭りの気分がしませんよ・・」と話してくれた言葉が、地元に住む皆さんの祭りを待つ心なのだなあと思いました。

神輿先陣争いが行われるマツリバでは、朝の5時から9時半頃まで、足場の良くない場所に立ちっぱなしでした。腰は痛くなるし足は突っ張るしで大変です。天気が良かったのが幸いで、ガスがかかったり小雨だったりしたら身の置き所がなかったと思います。

しかし、三日間の祭りで動いている方々はもっと大変だったでしょうし、1300年前からのしきたりを守り通し、今に生きる子孫の方々もご苦労様でした。とくにも、袰(ほろ)先陣行列では高齢者の男性が目立っていました。昔ながらの装束や歩くときの所作を間近で見ていると、タイムスリップしたかのような感じさえ抱きます。資料によると、すべての役割はその家に伝わる伝承であり、子々孫々まで受け継がれてきている事を知り、凄いなあと思いました。

郷土芸能伝承等にも同じことが言えますが、生活様式や価値観の変遷により昔ながらの伝統行事の継承が困難になりつつある現代です。伝統継承が大変なのは十分すぎるほど分かりますが、今の姿を子々孫々に伝えていくことが価値ある伝統行事の所以だなあと思うと、畏敬の念が生じてきます。改めて室根神社特別大祭を観て、歴史と伝統の重さを感じることが出来たことに感謝いたします。


・・・古式が守られているのは開催日だけではありません。この祭りで要職を務める神役から神輿の担ぎ手、仮宮を建てる人に至るまで、祭りに関わるすべての役は、室根地区を中心に広域にまたがる氏子や地区の人々できちんと役割分担され、親から子へと代々引き継がれています。

このように、祭りの古い形がきちんと伝えられていることから、昭和60年に国の重要無形民俗文化財に指定されました。(※ダイドードリンコ 日本の祭りから)


最後になりますが、私に撮影場所を教えてくださった記録係の男性に、この場をお借りして御礼申し上げます。

入り口のご神木から見下ろした広場の様子、広場は凄い人出になっていました。
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