今回の撮影は、柴燈木登りの場面で打ち切りです。メインになる蘇民袋争奪戦まで現場にいたかったのですが、吹雪の中で身の置き場所が無くなり家に帰りました。こんな弱気を出しては、裸で参加している男衆には申し訳ないのですが仕方ありませんでした。来年の課題は、別当登りから最後の蘇民袋争奪戦迄を撮影することです。
今年は何かとポスター騒動で事前の大騒ぎがあり、蘇民祭当日の人出と混雑が喧伝されていました。しかし、私が見た限りでは、厳しい事前の通達があったとは言え全裸姿の男衆は見ませんでしたし、蘇民祭の儀式は整然と行われていました。昨年は全裸の方が数人おり、偶然ですが私もその様子を撮影していました。翌日のテレビ報道を見ていて気がつきましたが、親方が蘇民袋を切るときは全裸なのですが、「ライトを消せー」の掛け声があり取材用のライトが一斉に消されていました。
最後の画像は今回のお気に入り画像です。もの凄い煙の中で咳き込みながら立つ男衆・素晴らしい肉体美の男衆が「ジャッソー・ジョヤサ」と叫んでいる姿からは、本堂に祀られている四天王の仏像を連想させます。また、目を閉じて静かに山内節を歌う男衆からは、千年も受け継がれてきた伝統の重みを感じます。
深夜の柴燈木登りの時、吹雪の中に時折上弦の月が見え夜空に輝く星も見えた。昨年も同じように月を見たが、燃え上がる炎に身体をかざし仰ぎ見る月は殊更に冷え込みの厳しさを感じる。身体を休ませる場所もなく立ちっぱなしで見ていると、昔の人々の祈りにも似た気持ちが分かるような気がしてくる。五穀豊穣、家内安全、病気平癒等々・・、今も昔も祈る人々の気持ちに変わりはない。その原点になるのが厳冬期に行われる蘇民祭である。そんなことを想いながら、千年前の様子に想いを巡らせた。
友人Nさんから頂いたメールの一部を紹介し、今年の黒石寺蘇民祭のまとめにしたいと思います。
今回の件は、話題ばかり先行して、お祭りの本来の目的はどこに行ってしまったの?とも思います。もしかしたら、地元の方はこんなことで話題になるなんて恥ずかしいと思われるかもしれません。
ですが、あのポスター制作に携わった方々の意気込みに、拍手とエールを送りたいと思います。当然、あのモデルになった方にも、盛大な拍手です。
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