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町中を練り歩く水かぶり男たち・・・

町外れにあるかつての大慈寺のあった場所(諏訪山大慈寺跡)で礼拝し、神の化身になった男たちは町中に繰り出します。水かぶり宿で見た今年の配置は、参加者総勢23名(おかめ・火男含)となっています。さらに四つの分隊になり本隊9名、南隊2名、西隊6名、東隊6の総勢23名となっています。

私が追いかけた諏訪山大慈寺跡に参拝したグループは、先頭でぼんでんを手にしていますので本隊のようでした。


水かぶりの一団は宿を出て法輪山大慈寺(永享元年・1429中山良用大和尚・奥州二十二観音四札所)の秋葉山大権現様に火伏せ祈願する。諏訪森大慈寺跡にも祈願の後、町に繰り出し家々の前に用意された水を家にかけ町中の火伏せをする。人々は男達が身につけたしめなわのわらを抜き取り、自家の火伏せのお守りにする。町を北上し八幡神社と若草神社に参拝後、町の東西に分かれ火伏せしながら宿に戻る。

町中の水かぶり男たち 1 いざ本番という所ですが、ちびっ子連れの親子がわらを手にしています。この場所はまだ町外れですから、待ち構える観衆があまりいません。
散らばったわらと空になった手桶。 水かぶり男たちの通り過ぎた後には、わらくずと空っぽになった手桶が転がっているのみです。追いかけに夢中の私は後ろ姿を撮影するのがやっとでした。
町中の水かぶり男たち 2・・・ぼんでんを手にする先頭の方。 何とか先頭に追いつき、ぼんでんを手にした方を撮影しました。まだ体のわらは引く抜かれていないようです。
町中の水かぶり男たち 3 たまたま目の前で手桶の水を家に浴びせますが、向こうからカメラマンが歩いてきました。次の瞬間どうなったか、ご想像にお任せします。頭からの水、カメラを持っていますので大変です。

わらの中から男たちの笑顔が見えています。わらを抜かれる男たちも楽しんでいるように思えました。通りを進むにつれてどんどんわらが引き抜かれていきます。
町中の水かぶり男たち 4 町中の水かぶり男たち 5・・・素敵な笑顔と目線をもらいました。
わらを抜き取る子供たち 1 水かぶりの男たちは、待ち構えている子供たちの集中攻撃をうけます。表現が適切では無いのですが、寄ってたかってわらを引き抜きます。

わらを抜く一番の主役が子供たちです。通りの中で子供たちに囲まれ動きのとれなくなった男性が居りました。その場から何とか離れようとしますが、子供たちのパワーが大きく見る見るうちに裸にされます。
わらを抜き取る子供たち 2 わらを抜き取る子供たち 3
わらを抜き取る子供たち 4 わらを抜き取る子供たち 5
わらを抜き取る子供たち 6 ついに頭を取られてしまいました。そばで撮影していましたが、「なんで俺ばかり・・」そんなことを叫んでいました。その後、この若者はみんなに向かって手桶の水を振りかけていました。
大量のわら(かしら)を持つ子供、それにしてもすごい。 頭を一人で三つも取るなんてすごいなあと思いますし、得意になって持ち歩いているとさえ思えます。
わらを抜かれながら笑顔いっぱいの表情が素敵です。 表情から推察すると中学生かと思われますが、子供たちにわらを抜かれながら笑顔いっぱいの表情、私のお気に入りの一コマでもあります。

水かぶりと言うよりも家々に水かぶせになりますが、追いかける立場では撮影するチャンスが無くなります。撮影できたのは数コマでした。
町中の水かぶり男たち 6 火伏せの水を家にかけます。
町中の水かぶり男たち 7 後ろからの追いかけですが、男たちからわらを引きはがしています。何しろ火伏せのお守りですから、観衆は遠慮はありません。寄ってたかって取り合いますので、全身わらだらけの男たちも裸になっていきます。
お年寄りと水かぶり男 1 デイサービス利用者の皆さんも、子供の頃を思い出して抜き取っています。見ていてものすごくほのぼのとした気持ちになりました。

わらを引き抜くお年寄りの表情が笑顔いっぱいであり、抜き取る方も抜かれる男衆も楽しんでいる様子が伺われるからです。
お年寄りと水かぶり男 2 お年寄りと水かぶり男 3


火男(ひょっとこ)とおかめ・・・

水かぶり宿でもちらりと見ましたが、火男(ひょっとこ)とおかめの姿を偶然見かけました。場所は米川小学校が見える近くだったと思います。資料では水かぶりとは別の行動とありましたので、出会ったときは嬉しくなりました。人通りのほとんど無くなった町中を、黒衣にひょっとこの白い面をつけた男性が鐘をたたきながら歩き、その後ろから女装したおかめの面をつけた男性が、バケツを天秤棒で担ぎながら歩きます。

見ていると、待ちかねたようにお年寄りが手にのし袋を持ってやってきます。そばで詳しくは見ていませんが、頂いたご祝儀はバケツに入れられ、バケツには中が見えないようにふたがしてあります。


水かぶりの一団とは別に、鐘を鳴らす墨染僧衣の火男(ひょっとこ)と天秤棒に手桶を担いだ女装のおかめが、家々を訪れてご祝儀を頂く。訪れた家に福をもたらす来訪神といわれ、火男は火の神様の仮のお姿であり、おかめはその相方である。この形態も古くから行われている。
火男とおかめ 1 火男とおかめ・・・

人通りの少ない通りで火男とおかめの二人を見つけました。近くまでは行かず、二人の動きを撮影しました。

家々を回る福をもたらす来訪神、ご祝儀を手にしたお年寄りが近づき、おかめの担ぐ天秤棒のバケツに入れていました。

どのような会話等がなされてのかは不明でした。
火男とおかめ 2 火男とおかめ 3
火男とおかめ 4 火男とおかめ 5
火男とおかめ 6 すれ違いながら見ていましたが、わらを手にした年配男性と笑顔で話しています。和やかな表情であり、賑やかで動的な水かぶりの後から、静かな雰囲気の火伏せが行われていると思いました。
いつもの静けさに戻った町の通り、わらが散らばっています。 いつもの静けさに戻った町の通り、ほとんど誰も見えません。ローアングルで道路を狙いました。あちこちにわらが散らばっています。強風が吹けば飛ばされてしまいそうなわらですが・・・。
家の前のわらを片づける年配の女性。 大慈寺境内に戻る途中でのことです。年配女性が家の前のわらを掃き集めていました。挨拶しながら、「片づけ大変ですね・・」と訪ねたら、「毎年のことですから・・」と返事が返りました。

町の人にとって、火伏せ行事は季節の到来でもあり片づけは当然のことのようでした。

火伏せ祈願・米川の水かぶりわら人形 11:22 境内に戻る・・・

水かぶりを終えた男たちが境内に持ってくると聞いていたので、私も最後の様子を見たくなり境内まで戻りました。

進行係の男性、ワイヤレスマイク持ち境内を歩きながら売店の紹介です。火伏せ祈願・米川の水かぶりわら人形が吊されていました。

小学校低学年の皆さんが引率されて帰る所でした。手に手にわらを沢山持ち、家に帰ってお守りにするようです。
小学校低学年の皆さん わらを大量に持つ子供たち
境内に戻った男性と子供 1 進行係の男性の大きな声が聞こえてきました。「水かぶりを終えた男たちが戻ってきました・・・」、ひょいと見たら首にわっかをつけ、しめなわを巻いた子供さんと一緒に受付にきていました。

また顔に煤を塗ったままの姿で、子供さんが身体にしめなわを巻きわらじを手にし方も見られます。

周囲で見ている皆さんの笑顔もさわやかであり、みんなか祝福されているなと思いました。
境内に戻った男性と子供 2 境内に戻った男性と子供 3

米川町バイパス南口にある巨大なわら人形です。
巨大な広報人形・・・

開会式で教育長祝辞をお聞きしながら、町の入り口に巨大な水かぶり人形があることを知りました。岩手から来るときには見当たりませんので、帰りに町の南側に回って発見し撮影しました。

米川町バイパス南口にある巨大なわら人形です。頭の先端部のわらが広がっているものと結ばれている二形態でした。最初にも書きましたが、違いの意味するところはあるはずです。わら細工をしているときの説明では、広がっているの炎の様子だと言います。先端部を結わえているのは、炎を閉じ込めている様子にも見られ火伏せと関わりがありそうです。詳細は分かりませんが・・・。


今回、初めて訪れて撮影した米川の水かぶり行事です。最初にも書きましたが、私の予想していた水かぶりとは男たちに水を浴びせるものと思い込んでいました。しかし実際は、家の前に置かれた手桶の水を、神の化身となった水かぶり男たちが家に振りかけ火伏せにすることでした。男たちが家々に手桶の水をかけること、男たちの身に纏ったわらを引き抜き、そのわらを屋根に乗せて火伏せのお守りにすることを知りました。

800年以上の歴史をもち、代々町の皆さんに継承されてきている火伏せ行事です。わらを纏った奇異な扮装も目を引きますが、何より大事だなあと感じたのが、米川地区・五日町の元服前後の男たち以外は参加できないこだわりがあることです。水かぶり宿でお聞きしたこと・・・わらを作るのもこの地区の人、立ち入りも出来ないよ・・・かたくなしきたりが守られていることに驚くと共に伝統を継承することの難しさを感じました。

お隣宮城県とは言え、遠い存在であった米川の水かぶり行事です。走ってみて意外と近かったこともあり、機会があれば次回も訪れ、待ち受け撮影で水かけと火男の様子を撮影したいなと思います。
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