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    2010早池峰岳神楽舞納め・クズシ場面


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休憩時間を利用して御花御礼をのべる山の神舞を舞われた方です。神楽衆の大ベテランの方とお見受けしました。

今年の神楽詣では、1月3日の早地峰岳神楽舞始めに始まり、12月17日の舞納めで終わりました。例年に比べてあまり出歩かない年になりました。早池峰神社の例大祭も出かけていませんし、宮古市の黒森神楽も同様であり、出かけなかったことが悔やまれます。その様な意味からも、大量に撮影してきた演目の画像は貴重なデータになっています。

まだまだ納得のいく場面の撮影は出来ていませんが、私なりにその都度撮影の視点を変えて記録してきました。張り切って早池峰神楽のタイトルでページを組んだものの、思うように進展していないのが実態です。12月17日の舞納めに出かけ来ましたが、まだ見たことのない演目はプログラムにありません。ちょっぴり以上期待しましたが、こればかりはどうにもなりません。

午後7時からの開演のために、会場に入ったのが午後5時半頃でした。場所の確保等で開演二時間前に着く予定でしたが、雪道等のこともあり遅れてしまいました。すでに神楽舞台の前の座布団には物が置かれていましたし、右端の窓際には三脚が置かれてありました。

また、舞台の高さはそれほどありませんので、正面に座られた方が身を乗り出しますとどうしても足下と重なります。舞初めの時と同じ場所にカメラを据えましたが、舞手の位置関係によりどうしようもないことがあります。私より後ろに三脚を置かれた方は、もっと場面設定が大変だったろうなと思いました。気に入った場所で撮影するために、二時間前には会場に入るように心がけています。

今回舞われた演目は、鶏舞で開演し最後は権現舞で終了しました。都合、十演目ありましたがいつ見てもその荒々らしく激しい舞に惹き付けられます。気がつくと、体が足踏みのリズム(ダダダン)に合わせて揺れていますし、周りの方も同様でした。今回は、舞われた演目の中から「松迎え舞」「山の神舞」「天降りの舞」「諷誦の舞」を紹介いたします。ほとんどの神楽は面を付けて舞いますが、今回は舞の後半から面を外した様子を取り上げてみました。面を外して舞う舞い方を「クズシ」と言うそうですが、「クズシ」について紹介します。


御面(おめん)・・・

早池峰神楽では、面を付けて舞う演目と、面を付けないで舞う演目があります。面を付ける舞では、その面に神が宿っていますので、舞手は神の化身となって祈祷や託宣を行います。これを「ネリ」と呼んでいます。

神舞などでは舞の後半になると、舞手は面を外し美しく速い舞を舞います。これを「クズシ」といい、舞手が人間に戻って神様に捧げる喜びの舞であると言われています。なお、演目によっては舞手が最後まで面を外さずに舞う物もあります。

三番叟や山の神舞・猿田彦など特徴のある面以外は、主に男神・女神・荒神・翁・殿方・貴方(女方)・道化・動物面などに分けられ、兼用で使う場合が多くなります。(※早池峰神楽 神楽鑑賞ガイドより)



神楽の場面を最前列で観ていると、激しい舞や動きと共にハアハアという息遣いが聞こえてきます。汗が流れ落ちるのが分かりますし、激しすぎる動きであることも分かります。太鼓に合わせ、手にした扇をあおぎながら舞台をゆっくりと歩きますが、一息ついていることも分かります。

ここであえて「クズシ」の場面としたのは、面を外したことにより舞手の素顔が見られ、激しい舞と相まって形相も凄い迫力で舞う仕草に惹かれるからです。この迫力と気迫が観衆を惹き付ける源と言えそうです。特にも、「諷誦の舞」はいつ観ても惹き付けられてしまいます。

※舞の最初から紹介しないで、面を外した所から紹介する無礼をお許し下さい。
※「クヅシ、クズシ」表記について
  早池峰神楽の資料を見ますと、両方の表記が見られます。全体の説明ページでは「クズシ」を使用しましたが、個
  々のページでは鑑賞資料にある「クヅシ」を使用しました。どちらの表記が正しいのかは分かりません。


トップの画像は演目途中での御花御礼の場面からのものです。この方は山の神舞いを舞われた方ですが、岳神楽を観に行くと必ずお目にかかる神楽衆の親方的存在の方とお見受けしました。舞いの時に見せる厳しい表情とは違い、ユーモラスな語りとにこやかな表情で観客を惹き付けてくれます。ここでは初めての試みですが、「御花御礼口上」の様子を抜粋で紹介しいたします。


御花御礼口上から・・・

御花(みはな)ご披露たーてまつります。せっかくなので、床屋して立派になってお迎えしようと思いました。所が12月さ入って咳が出てしまい、病院さ行ったら「咳喘息」。咳の出ねー喘息などあるわけねえど思いました。・・・この口調でユーモラスに語りますと、会場からはわーっと歓声が上がります。

さてと、御花ご披露たーてまつります。「一つ金は三千円なり、右は○○様より」、「おん酒一樽」、「ホタテ一箱」、「一つ金は一万円也、右は○○神楽団体様より」・・・、と言った形で次々に紹介されます。「御花」はほとんど三千円が主であり、時には五千円とか一万円もありました。かく言う私も楽屋に出向いて手渡します。もちろんですが、「写真を撮影させていただきます」と断ります。

紹介が終わると、・・・各皆様お膝元に進んで御礼なすべき所、天下りの舞をもって御礼と供します。まずはこのたびの・・・と語り始めた所で太鼓と笛が入り聞き取れなくまりました。

22:20過ぎ、権現舞終了後お開きとなりました。案内の方より、・・・御神酒を沢山戴いておりますのでこの場所で御神酒開きを致します。どうか参加していただきたいと思います・・・と直来の案内がありました。夜も遅いこともありほとんどの皆さんは家路につかれます。もちろんですが、私も参加はしないで家路につきました。



松迎え舞
山の神舞
松迎え舞の最初場面になります。 山の神舞で太刀を振るい厄を祓います。
天降りの舞
諷誦の舞
ご存知天降りの場面です。 荒舞で一番激しい諷誦の舞です。