2012熊野神社蘇民祭・火たき登りに戻る

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21:30頃 拝殿までの道を祓う・・・

歳戸木が勢いよく燃え上がる頃、燃えている長い木(燃え木)を取り出して火のついたまま左右に振り払い、地面を浄めながら拝殿右の入り口を目指します。大きな声で「ジャッソー」と叫ぶ方、雄叫びのような大声を上げる方、無言の方と様々ですが、見守る周囲の役員や一般から気合いが入ります。「声が低い」「もっと振り回せ」等々かけ声が上がり、中には燃え木を踏みつけて止める人まで出てきます。

観衆も気合いを入れながら男衆を元気付けるのですが、その掛け合いと男衆の祓いの動作が火たき登りのもう一つのハイライトでもあります。男衆の通る道筋は皆さんが陣取っており、近くまで行ってローアングルでの撮影をしたいと思うのですが容易ではありません。

入り口階段に燃え木を叩きつけ、あるいは、入り口上の柱を叩き付けますが、その前には青い半纏と赤いほっかむりの役員が立ちふさがり押さえつけられます。それを押し切って拝殿に進みますので、押さえつける役員の方も慎重に動かないと叩きつけられます。以前のことでしたが、入り口上を叩いたはずの燃え木が役員の肩にあたり驚いたことがありました。

最初の画像は望遠レンズで撮影した画像です。燃え木の長さは2mぐらいあり、火のついたまま左右に(扇状)動かしながら地面(雪の上)を祓います。

階段や入り口の柱を叩いた瞬間、燃えさしから大量の火の粉が飛び散ります。ストロボ撮影ですとどうしても明るくなり大量の火の粉の描写が難しくなります。自然光線の高感度撮影でも良いのですが、表情や周囲の様子が潰れますので仕方なくストロボ撮影をしています。

燃え木から出る煙も雰囲気としては良いのですが、大量に出ると画像がくすんでしまいます。

拝殿までの道を祓う 1
拝殿までの道を祓う 2・・・腰を下ろしてと気合いが入ります。 拝殿までの道を祓う 3
拝殿までの道を祓う 4 拝殿までの道を祓う 5
拝殿までの道を祓う 6 拝殿までの道を祓う 7
拝殿までの道を祓う 8・・・ベテランの方の祓い。 四十二歳厄年連の動きを見ていたベテラン役員が、大きな声を上げながら手本をを示してくれました。かなり太くて長い燃え木を手にし、階段を叩きつけ中に入ろうとしました。なんと、手木を両手にもった方が中から出てきて防いでいます。

こんな場面のやりとりが大好きで、男衆による祓いの様子を撮影しています。
拝殿までの道を祓う 9 拝殿までの道を祓う 10
拝殿までの道を祓う 11 拝殿までの道を祓う 12
拝殿までの道を祓う 13 火たき登りの境内で、タイマツに火を付けていた役員の方です。親子ぐらいの年齢差がありそうですが、お堂を叩いて拝殿に入ろうとする男衆を身体で阻止します。

「ダメダメ、もっと気合いを入れろ・・」と大声で叫ばれ、それを押し切って入ろうとする男衆も気合いが入ります。

拝殿の堂内を祓う・・・

東側の入り口から堂内に入った男衆は、誰も居ない床板や腰板、拝殿前の格子戸を思いっきり叩き気勢を上げます。誰も居ないと書いたのは事実であり、中をうろうろしては男衆が気合いを入れて祓われなくなるからです。

ここでは三人の男衆の表情を追ってみました。
拝殿堂内を祓う 1
拝殿堂内を祓う 2 拝殿堂内を祓う 3
二番目の男衆、床を叩く力が強く燃え木がしなっていました。入り口から撮影しましたが、間近からストロボが光りますので驚いたことと思われます。

表情の厳しさから、大きなかけ声が聞こえそうです。
拝殿堂内を祓う 4
拝殿堂内を祓う 5 拝殿堂内を祓う 6
拝殿堂内を祓う 7 三番目の男衆、燃え木を思いっきり叩きつけたら途中からぼっつりと折れてしまいました。

狭い堂内ですので、思いっきり燃え木を振り上げると二人以上は入られなくなります。ましてや、一般人が堂内に入ると邪魔になります。入り口には手木を二本持った世話人・役員が控えています。

燃え上がる歳戸木・・・

燃え始めた頃は火勢はありませんが、やがて男衆も降り上の段の木も燃え出します。歳戸木の中央には木でつくられたボンデンが立てられていますが、やがてボンデンも燃え尽きていきます。熊野神社の歳戸木は高さが三メートル程あり、岩手県の蘇民祭では最大級の物です。

今年は178回目の蘇民祭でございますが、疫病が出たり火事が起きたり、不幸なことがいっぱいあったと言うことで蘇民祭が450年ほど前から始まったと言われます。昭和50年、それまで途絶えていたのですが、神社の保存会が結成されまして、それ以後ずーっと止めることなく毎年蘇民祭をやっております。
(※会場で毎年説明される名司会者のお話から)


燃え上がる歳戸木の火を見ていると、この場で同じように火を眺めていたであろう古の先祖達の生活に想いがはせます。火は人々の心を温め生活を豊かにしてくれる反面、使い方を間違うと全て焼き尽くし灰燼に帰します。今も昔も先人の教えは生きています。

最初の画像は、手前の皆さんの姿を浮き出させるためにストロボを使用していますが、二コマ目は燃え上がる火にポイントを置いた自然光線での撮影です。どちらの画像でも炎の上に小さな火が見えますが、燃えていくボンデンの部分でになります。

歳戸木の火・・・ストロボ使用。
歳戸木の火、自然光線。
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