昆虫の表情に戻る


          2015空蝉アラカルト


     

location:uchinome.jpトップ>自然の表情昆虫の表情>2015空蝉アラカルト

 サイトマップ


椿の葉にぶら下がるせみの抜け殻、高さは2mほどありました。
2015空蝉アラカルト・・・

空蝉(せみの抜け殻)をテーマにページを作成するのは今回で二回目になります。たまたまでしたが玄関先に飾っていたせみの抜け殻と、大好きな佐伯泰英の小説を重ねての発想からページを作成したものです。被写体となる抜け殻はたった一個、よくもまあ膨らませてあらゆる角度から撮影したものでした。

今回は今まで撮りためていた画像と、8月・9月に家の周辺を探してまだ残っていたせみの抜け殻を探しての画像化です。天気の良い日中にはまだセミの鳴き声が聞こえてきますが、そろそろ鳴き声が聞かれるのも終わりになりつつあります。

今回は家の周辺で探して見つけたせみの抜け殻に、古来から言い継がれてきた別名として親しまれている「空蝉」の名を使用し、三つの場面で見つけた抜け殻の様子を画像化し紹介したいと思います。三つの場面とは、建物周辺の色んな場所で見つけた抜け殻と、本来の羽化する場所である草木の回りで見つけた抜け殻です。

三つ目として驚いたのは、今回初めて発見したクモの巣にかかった幼虫の姿です。

トップの画像は、椿の葉につかまりそこで羽化した抜け殻の様子です。きれいな抜け殻でした。あえてアラカルトとしたのは、羽化する場所があまりにも多様であり、掴まる場所があればどこでも良いのだなあとさえ思えたからです。

なお、半年前に作成した「空蝉・せみの抜け殻」を参照したい方はこちらからお入りください。

                                                       2015.09.08 作成

家の周囲から 1 家の周囲から

ここからは、家の周囲で見つけた、抜け殻のあった場所です。

えーっこんなに高い場所に、掴まることが出来るのであればどこでも良いのだなあと思いました。


コンクリートのでこぼこの場所、つるつるの場所は爪が立たないのかも知れません。
家の周囲から 2 庭先に投げかけておいた壊れた風呂のフタに掴まっていました。

他にも掴まる場所があるのに、なんでこんな場所を選んだのか分かりません。
家の周囲から 3 壁に打ち付けたカラートタンの下から姿を見せています。

何となく上下が不安定な気がしますが、この場所で羽化し飛び立っていったのでしょう。
家の周囲から 4 2m程上に打ち付けてあった角材に掴まっています。

この場所まで行くには、真っ直ぐ壁を登り打ち付けた角材までこなければなりません。
家の周囲から 5 周囲をよく見たら、右下にもう一匹いました。

さすがにトタンの壁には上がってこられませんから、木の角材は掴まるのに都合の良い場所なのでしょう。
家の周囲から 6 これは4m程の高さの場所です。古い木造の小屋の屋根の板の部分に掴まっていました。

ストロボの光がやっと届いたようでした。

家の建物周辺は、まだまだ探せばあるのかも知れません。

蚊に刺されてしまい、かゆくなって離れました。

草木に掴まる 1 草木に掴まる

本来の羽化の場所は、やっぱり地面から生えている草木の枝や葉の部分です。

家の周辺でせみが鳴き出したのは7月頃からです。

今年の夏は気温が高い日が続き、せみの活動にも最高の条件であったと思われます。

南天の木の枝先まで登ってきて、今にも落ちそうな場所での羽化です。しかも二匹も一緒です。
草木に掴まる 2 あまりにきれいなので、接近してみました。

腹部付近から細いクモの糸が葉に張られ、巣が作られているように見えます。
草木に掴まる 3 太い松の木の皮にしがみついている抜け殻です。ちょっと見には色が同じですから、ストロボの光を当てないと見落とします。
草木に掴まる 4 梅の古木にしがみついている様子です。
草木に掴まる 5 トップのロゴ画像に使用した椿の葉に掴まっている様子です。

高さにして2m近くありました。
草木に掴まる 6 別のアングルからの接写です。

三対六本の足をがっちりと葉に絡ませ、大きな身体を固定して羽化しています。

素敵な横顔です。大きな目ですが、幼虫の目には視力があるのでしょうか。

もちろん真っ暗な土の中での生活ですから、視力の有無には関係なく動けますが・・。
草木に掴まる 7 古木の梅の木に生えている枝に掴まっている様子です。

ストロボの光が葉に正面から当たり、きれいな色合いの葉に掴まっている抜け殻です。
草木に掴まる 8 別の場所にまだいました。梅の古木は幼虫が登ってくるには良い場所なのでしょう。

ストロボ光のあたりが丁度良く、抜け殻の色合いに深みがありました。
草木に掴まる 9 古木の梅は羽化する場所は最適なようで、つまっている葉が二段になります。

どのようにして二匹の幼虫がここまで一緒に来たのでしょうか。最高に関心が出てきました。

夏の夕暮れ、蚊に刺されるのを覚悟で彼らの姿を見つけ、その動きを追いかけて見たいものです。

来年の課題にしておきます。
草木に掴まる 10

抜け殻を探していたら、おもしろい場面に遭遇しました。

炎天下の太陽が木の葉に当たると、厚い葉を通して光が見えてきます。

たまたまですが、同じ枝に二個の抜け殻を見つけ撮影していたら、葉っぱに影が映っています。

ちょっと見にはクワガタかなと思いましたが、葉の上にはセミの抜け殻ありました。

この枝には都合三匹の幼虫が登ってきたことになります。

回りには沢山の枝があるのに、なんでこの場所に三匹も・・。

不思議だなあと思うと共に、この場所に集まる何かがあるのだなあと思いたくなります。


クモの巣に捕まった幼虫 1 クモの巣に捕まった幼虫

今回初めて発見したクモの巣にかかった幼虫の姿です。

地面から出たままの姿でクモの巣にかかり、そこで羽化しようとしたのでしょうが背中から体液を吸われたかのように見えていました。
クモの巣に捕まった幼虫 2 接近して撮影してみました。普通の巣にかかると、大量の糸を出してぐるぐる巻きにされます。

今回はぐるぐる巻きにされず、どのようにしてエサにしたのでしょうか。

体中土だらけですが、泥の中を動いてきたのでこうなったのかなあと思われます。

巣の張り方と周辺にいるクモの種類からみて、多分ですがオニグモであろうと思います。

抜け殻は、今まで見てきた物よりかなり小さめの抜け殻です。

興味があるのは、どのようにして幼虫を捕まえたのか・・。

たまたま羽化の場所を求めて動いている時にクモの巣(糸)に触れ、関知したクモに引き上げられた物なのか、詳細は不明です。
クモの巣に捕まった幼虫の抜け殻、実際は抜け殻で無く体液を吸われた殻とでも言えます。 懲りない私は、クモの巣から抜け殻を外し背中の切れ込み部分から接写してみました。

羽化する時は背中の部分が両側に開き、この部分から身体が大きく膨らみ、あふれ出すように出てきます。

クモに食われたと思える背中の部分は、殻が広がるのでは無く切り取られたかのように溝になっていました。

どのように食われていったのか不明ですが、初めて見た抜け殻の様子からそんなことを感じていました。

空蝉という古来からの言葉が、無残にも打ち消される姿でもありました。

気になったのは腹部の切り込みでしたが、乾燥して壊れてしまったのかもしれません。

今回はかなりの数の空蝉(せみの抜け殻)を家の周辺や、周囲の木々の間から探し撮影しました。数多く見られたのは八月中頃のお盆の頃でした。墓参りに来た皆さんがおもしろがってかなり採りましたので、本来の数より減っていました。何気なく見つけて「ここにもあった・・」と見る場合と、意図的に探し求めるのとではねらいが違います。

夏の暑さに制限されるせみの出現数です。季節の変化を微妙に感じて、暗い地中から明るい地上に出てくるせみの生活サイクルはどうなっているのでしょうか、興味が出てきます。


空蝉について・・・

日本ではセミの幼虫または、その抜け殻について、全国共通の名称は存在しないが、多くの方言で成虫と区別する名称が存在する。一方「空蝉(うつせみ)」はセミの抜け殻の古語である。また、セミの抜け殻を蛻(もぬけ)と呼ぶこともあるが。この言葉はヘビなど脱皮をする動物全般の抜け殻を指しセミに限らないほか、現在は専ら『蛻の殻』という慣用句として用いることが殆どである。

日本では、地上に出ると短期間で死んでいくセミは、古来より感動と無常観を呼び起こさせ「もののあはれ」の代表だった。蝉の抜け殻を空蝉(うつせみ)と呼んで、現身(うつしみ)と連して考えたものである。珍しくはあるが、阿波の由岐氏などがセミの家紋を用いている。
                                                         ※ウイキペディアより
                  このページの最初に戻る →