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       奥州市・完成間近の胆沢ダム


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完成した胆沢ダム堤体と最初に完成した切り替え道路に架かる橋。
完成間近の胆沢ダム・・・

10月23日のことでしたが、いさわ散居ガイドの会主催による「いさわ路探訪 紅葉と完成間近の胆沢ダム見学」の催しに参加してきました。7月末頃から、石淵ダム周辺の道路(旧道)は工事のために通行できなくなっています。また、12月には試験湛水があり石淵ダムは完全に湖底に沈みますので、石淵ダム周辺に立ち入るのが最後の機会になりました。

今まで何回となく石淵ダムの側を走り、胆沢ダム工事や石淵ダムの様子を撮影しています。2006年6月24日にはダム本体基礎部分の工事見学会にも参加し、ダム本体中心部のコアの基礎工事を見学しています。この時はコア工事が初期の頃でもあり、精密な作業に見とれました。

また、コンクリートの代わりになる堤体表面の石、これを採取する原石山、その石を採取する超大型重機や運搬する90トンダンプの巨大さに驚いたものです。現在ダム堤体工事は完了し、先頃は胆沢ダムの湖名も奥州湖と命名されました。当日はあいにくの雨降りになりましたが、ダム学習館で担当の方から詳細に説明を受けました。

胆沢ダム工事見学会はこちらから
巨大プロジェクト・奥州市胆沢ダムはこちらから

トップの画像は見学会の後、見てきた様子をはっきり確認するため天気の良い日に訪れた時の様子です。胆沢ダム建設に伴い一番先に作られた橋です。堤体前の敷地は工事に伴う借地で、現状復帰して返還されるといいます。

なお、説明文はご一緒した胆沢ダム工事事務所Kさんからの説明を参照していることをお断りします。


ダム学習館にて・・・

あいにくの雨降りになりましたが、水沢観光物産センターアテルイからバスで一路胆沢ダムを目指した二十名です。ダム学習館では、胆沢地方の水利の歴史とダムの関連をまとめたビデオを鑑賞しました。ここでは胆沢ダム工事事務所のKさんから詳細な説明があり、バスで一緒に行動しながら現地での説明をお聞きしました。


平成22年7月に堤体完了し、今年の12月から試験湛水というのを実施する予定になっています。今年貯め始めて来年の4月下旬頃には満杯になります。10月頃を目処に潅漑用水等を供給しながら徐々に下げていき、通常の最低水位まで下げます。それで大丈夫となると、26年4月から本格的にダムとして利用が始まります。


試験湛水とは・・・

試験湛水とは、ダム堤体工事が完成した後にダムに問題がないかをチェックするための試験で、サーチャージ水位まで貯めてから最低水位まで下げて実施し、ダム本体、放流設備、貯水池周辺の安全性等を検証するものです。

なお胆沢ダムの約2km上流にある」石淵ダムは、10月からゲート等の撤去工事に入る予定で、試験湛水が始まると石淵ダムはダム湖に沈みます。見学できる最後の機会ですので、一度石淵ダムまで来てみてはいかがでしょうか。

サーチャージ水位・・・
ダム下流の洪水防止のため、洪水が発生しそうな時に、一時的にダムに貯めることが出来る最高の水位。

常時満水水位・・・
利用目的(水道、かんがい等)に使用するため、ダムに貯めることが出来る最高の水位。

最低水位・・・
ダムの運用計画上最低限必要な水位

(※いさわだむにゅーす 第42号より)

学習館での説明 胆沢ダム模型使用しての説明・・・

石淵ダムは昭和27年に完成したダムです。現場で見ると小さく見えますが、これでも高さが53mありまして、長さも300m以上あります。

昔のダムだったものですから、戦後すぐだったのでセメントとかが非常に少ないと言うことで、この岩場から岩を切り出してまいりました。
胆沢ダム模型

現在造っております胆沢ダムは、上流下流とも岩が見えております。これを見ると、どこで水を遮るのかと言うことになりますが、構造が変わっておりまして「中央コア型ロックフィルダム」と言うダムになり、真ん中の所に「コア」と言う粘土質の土が入っております。

これは世界的にも大きなダムはほとんどこの形で造られています。

雨降りになりましたが、バスに乗りこれからダム工事現場に向かいます。

ヘルメットをかぶりバスにに乗ります。 あいにくの雨降りですが、かすかにダム堤体が見えます。

バスで胆沢ダム堤体内側に入る・・・

一般車両は通行止めですが、今回の見学バスは堤体内側に入る旧道を降りてきました。雨降りとガスがかかり、遠方の風景がはっきり写らないのが気になりました。

今回のダムの目的ですが、石渕ダムも洪水調節とか潅漑・発電をやっております。発電のための水は全部山の中をパイプを通し、地下のトンネルを通してもってきています。したがって、胆沢川には回りから流れ込んだ水しか流れないと言うことになります。今回はダムのすぐ下で発電をします。発電した水はすぐこの下に流れます。

水には権利があり、農業用水としてはこれだけしか取ってはいけないと言う決まりがあります。石淵ダムは容量があまり大きくないので、雪解け水は容量が増えますので水が貯まってしまい、余分な量は全部流してしまいます。今回の胆沢ダムは、雪解け水をほとんど貯めることが出来ます。それで夏まで貯金して夏場に利用していきます。

石淵ダムを造るには、昭和21年から28年まで7年かかっております。胆沢ダムは、調査を始めたのが昭和58年ですから、この様になるまで約30年かかっております。30年と言いましてもダムの本体を造るには大体10年ぐらい、そのほかに、最初の10年は調査とか用地関係、そのあと付け替え道路など周辺の工事をしまして、最後の10年で貯水池が出来ることになります。ですから、水が足りないからダムが欲しいと言っても、完成するまでには30年ぐらいかかってしまうのです。

旧道が閉鎖されるまでは、何回となくここを通り作業の邪魔にならない場所から撮影してきました。今回は本当に見納めになる場所です。雨降りであるのが悔やまれますが仕方ありません。以前は巨大な90トンダンプが走っていましたが、大型の工事(堤体)が終了してので見ることは出来ません。

堤体内側から 1 堤体内側・・・

ダム堤体内側の様子です。私達は中央右手の土盛りした場所まで進み、ここで周囲を見ながら説明を受けました。

左手に鉄くずが一杯ありますが、これは石淵ダムを解体しておりそこから出てくる鋼材です。

堤体表面に三ヵ所のレベルが見えています。上から最大満水レベル、常時水位レベル、最低水位レベルとなります。
堤体内側から 2 ここに置かれた石淵ダム撤去鋼材は、リサイクルされると言います。

石淵ダムのゲートとは、60年前に造られて一回も取り替えていないとのこと。しかし、60年間メンテナンスされているとのことでした。
堤体内側から 3 現在あちこちに撤去された鋼材等が置かれていますが、間もなく片付けられます。

12月からはこの場所に水が溜められ湖底に沈みます。
堤体内側から 4・・・取水塔の建設。 取水塔・・・

目の前のクレーンがいるところに取水塔と言いまして、水をここから取り込んで下流に流してやる設備です。

普通ですと塔が建っており、それにゲートが付いているのが普通です。こちらのダムでは伸び縮みするパイプになっていて、水が上がれがそれに連れて上がっていき、下がれば下がります。


遠くから見ると大きくは見えませんが、湖底からの高さが130m程になります。
・・・取水塔の拡大。 取水塔部分の拡大・・・

交換は基本的にはしませんので、ステンレススチールで造っていて、メンテナンスは間にあるゴムとかを取り替えることになります。

本体自体は、ダムが働き続ける間はそのままになります。
石淵ダム方向の稜線、岩場と紅葉。 目線を石淵ダム方向に移動した周囲の様子です。南側の山斜面はあちこちが岩盤になっています。

手前に旧道があり、崖の下には胆沢川渓流があるのですが、発電用水取水のため普段は流れが見られません。

稜線の紅葉が始まりきれいでした。
遠方に見える石淵ダム堰堤。 遠方の石淵ダム・・・

右側の白く見える場所はゲートで、大雨等で貯水能力を超えた際にはここからダムの水が放流されます。

今回胆沢ダム完成により、石淵ダム堤体はそのまま残されます。説明によると上流から流れてくる土砂等をここでくい止める働きがあると言います。

「百年間は大丈夫ですよ・・」との説明に、皆さんは驚いていました。

ダム堤体からはみ出た部分は全て撤去される様です。
猿岩方面に向かう橋のあった場所。 ここからはバスの中からの撮影になります。雨降りでもあり、窓ガラスの水滴が気になりますがご容赦下さい。

猿岩方面に行くための橋がここに架かっていました。かなり以前に通った記憶がありますが、今となると定かではありません。

必要が無くなったので撤去されました。
石淵ダム管理事務所前で通行止め。 ここで進入禁止になります。以前はこのまま進むと石淵ダム管理事務所の脇を通り、つぶ沼経由で秋田県まで通る道路でした。

石淵ダム堤体(ロックフィル側)が何とか分かります。熊出没の看板、見て驚きましたが、今年は里まで下りてきてエサを探しているようです。
撤去された資材等々。 ダム管理事務所からの撤去資材になります。少々ピンボケですが、何となく分かります。
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