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          釜石虎舞あれこれ


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絶妙な小太鼓のリズムに乗って登場してきた只越虎舞です。

釜石周辺に伝承される虎舞を調べてみると、かなりの数の虎舞があげあられます。ここでは、港まつりで披露された三団体の虎舞を撮影しましたので紹介してみます。私にとって本格的に虎舞を撮影したのは今回が最初になりますので、演舞の流れや詳細が良く分かりません。したがって、ここでは特徴的な演舞の流れを切り取ったに過ぎません。

詳細の舞いの内容については良く分からないのですが、三つの場面(遊び虎、跳ね虎、笹喰み)をまとめて演技しているように思えました。演舞の時間も団体により違いますが、平均すると15分前後ありました。また、演目解説資料によると、虎の前に出て舞いをあおる踊り手は今回は登場しておりませんでした。


釜石虎舞の由来・・・

今からおよそ八百三十年程前、鎮西八郎為朝の三男で、陸奥の国を領有していた閉伊頼基が、将士の士気を鼓舞するため虎の着ぐるみを着けて踊らせたと伝えられる。鎮西八郎為朝(1139〜1177)は源義朝の弟であり、頼朝や義経の叔父にあたる。現在は、浜町の尾崎神社の御祭神として奉られ、毎年十月の第三日曜日に「釜石まつり」が奉納されている。

江戸時代中期(約二百五十年程前)に三陸随一の豪商として名高い前川善兵衛助友(通称吉里吉里善兵衛)が、江戸で大ヒットしている近松門左衛門の浄瑠璃「国姓爺合戦」の一節から、「千里ケ竹」和藤内の大虎退治の場に感動し当時、山田の大沢出身の船方衆がこれを故郷に持ち帰って創作舞踊とし、笛や太鼓の囃子も賑やかに神に奉納したと言う。

当時船乗りは、「板子一枚下は地獄」と言われ、漁師の家族にとって無事帰港することが何よりの祈願であった。「虎は一日にして千里いって千里帰る」ということわざから、無事に帰ることを念じ、虎の習性に託して踊った虎舞が沿岸漁民のあいだに広がっていった。

虎には火伏せの霊力があるといわれ、行者や修験者が火勢鎮圧のため空中に虎という文字を描く作法がある。木造建築であるわが国にとって火災は最大の災難であり、難防止を祈願し高い瓦屋根の上で舞う虎舞は勇壮であったと伝わる。気仙地方や三陸沿岸においても、度々の大火に見回れ火災鎮護の信仰から虎舞が舞われるようになった。

このように虎舞の由緒、由来については確定的な文書、物件もなく口伝として代々伝えられ現在にいたっている。釜石市においては、平成十年七月に釜石虎舞無形文化財として、片岸虎舞、錦町虎舞、両石虎舞、尾崎町虎舞が指定されている。 (※釜石観光協会資料より)


演技・・・ 

踊りの仕組みは、まず虎を型どったものの中に前後二人の者が入り、巧みにこれを使いわけます。この外に子供等数名が、ササラ、槍、扇子を持って虎と共に舞います。三陸沿岸に伝えられる虎舞の演目はおよそ次の4種があげられます。


遊び虎 (別称・矢車)・・・

春の日差しを浴び無心に遊び戯れる態様をあらわす。この時の太鼓の撥捌きが5月の鯉のぼりの先端に取り付けられた矢車が風にくるくる回る姿に似ているので別称を「矢車」ともいう。踊子数人が扇を持って共に踊り、如何にも優美なものです。


跳ね虎 (別称・速虎)・・・

目的の場所に追い込まれた虎が手負いとなって荒れ狂い、流石の猟師や勢子達も及ばなくなるが、気丈な和籐内が一人で之を仕止めるという舞を表現したものです。虎舞の中で最も勇壮闊達な踊りである。


笹喰み・・・

繁殖期にある虎が、盛んに獲物を求め焦燥し、笹にかみついて歯を磨ぐなど気性が荒くなり、猟師が虎狩りするのもこの頃だという伝説によるもので笹竹をくわえて踊る姿は虎の習性を良くあらわしている。一説に虎は竹の子を好物とし、それを探す態であるともいわれている。

舞も囃子も一段と活気をおび舞のクライマックスです。そして踊子は手にササラを持って、虎の猛襲を避けながらだんだん目的の場所へ追いやる風に踊ります。



囃子・・・

囃子は大太鼓、小太鼓、笛、テビラ金、掛け声とからなっています。祭典の場合は、木片で山車の横板等をたたいて、掛け声と共に調子と威勢をつけます。

1.大太鼓、小太鼓の打ち手は一人で、小太鼓は前の右側に横たえ、同時にまたは交互に叩いて、踊りの調子を取り
  ます。
   
2.笛の吹き手は二人、これは太鼓の拍子を取り舞踊と囃子の基本となるので、最も重要なものであります。そして笛
  特有の優雅な音律は、囃子そのものに一脈の情趣を漂わします。

3.テビラ金(本名銅鍼子、俗称手拍子の方言)手元は三人から四人、金属性の高いながらもさびのある音調はいとど
  賑やかな囃子を調子づけながら、言うに言われぬ渋みをそえます。(※この項は釜石大槌の伝統芸能より)


掛け声・・・  

釜石の虎舞 ハネ虎舞 一杯呑まねば気アすまねえ 
   
「大漁万作 商売繁昌でエー ヨイトサノサー」

「鍋釜 売っても 良い嬶持たんせ 一生の花だよ」
「ホー ホー ハー ヨイトサー」
   
「ソコラガ大事だ」 「ソコラガ大事だ」
「ソレ アヨイトサー」
   
せっせと 囃せば 親方よろこぶ
「ホー ホー ハァー ヨイトサー」
     
虎はどこだ オセエー オセエー
「ハァー ヨイヤサー」

(※この項は釜石大槌の伝統芸能より)


釜石観光物産境界から頂いた資料によると釜石地区の虎舞は14団体あり、例年ですと開催順に釜石郷土芸能祭、釜石さくら祭、かまいし夏の港まつり、釜石まつり・・曳舟またうり、釜石まつり・・神輿渡御、漁火虎舞となっています。今年は大津波に被災し、舞手の方々の被災や虎舞の道具などが流されそれどころではなかったと思われます。

一日も早い沿岸各地の復旧と復興を祈念すると共に、かつての威勢の良い虎舞の勇姿が各所で見られることを願う一人でもあります。

下のサムネイル画像かタイトルをクリックしてお進み下さい。


錦町虎舞の囃子メンバー 錦町虎舞・・・

伝承地:釜石市浜町

伝承団体:錦町青年会
只越虎舞の囃子メンバー 只越虎舞・・・

伝承地:釜石市只越町

伝承団体:只越町虎舞保存会
平田虎舞の囃子メンバー 平田虎舞・・・

伝承地:釜石市平田

伝承団体:平田青虎会