厳しく寒かった冬が遠ざかり優しい日差しを感じる頃、春の兆しとともに桜の開花の頼りが南の方からやって来ます。平成22年の春は天候が例年と違い乱れ、各地の桜名所でも大幅に遅れました。家の近くにある北上市展勝地でも開花が大幅に遅れ、ゴールデンウイーク中に満開を迎えました。人出も50万人を超えたとかで、毎年訪れる我が家でも近寄ることさえ敬遠したほどです。
体内時計のリズムで春の訪れを感じていた桜の花、満開になったと思ったら散るのも早い今年の様子でした。今か今かと気温の上昇を伺っていたのが抑えられ、それーっとばかりに開花したのですから分かるような気がします。
岩手の一本桜と言えば、あまりにも有名になった小岩井農場の一本桜です。今年はゴールデンウイーク中の開花が見られず5月7日に満開になりました。ネット検索で一本桜の情報を調べてみると、岩手県内にもあちこちの一本桜開花の様子が報じられています。
一本桜の由緒を調べてみると、大きく分けて三つに分類できそうです。@広い牧草地に牛馬の日除けのために植えられた「日陰樹」と言われるもの、A樹齢が数百年ありその場所の歴史にまつわる由縁のあるもの、Bたまたま植えた桜を伐採しないでその地で大きくなっていったもの・・・、等々に分けられるようです。@の代表が「小岩井農場の一本桜」であり、Aの代表が弘法大師が地面に刺した杖から芽が出たと言われる樹齢800年の「弘法桜」、Bに相当するものがタイトルにある八幡平市にある「上坊の一本桜」になります。
従来桜の名所と言えば、広大な山野や平地に植えられた数百本以上のサクラの木が見せる美しさが一般的でした。それに対して、たった一本のサクラの木が見せる美しさは、歴史的な背景や過酷な自然の中で逞しく生きてきた凛とした姿に、今に生きる私達が魅了される所にあると思います。
トップの画像は、今年になって気がついた八幡平市・上坊牧野にある一本桜です。今回初めて訪れましたが、雄大な岩手山麓牧草地に一本だけ立つ桜です。小岩井側から見ると岩手山の反対側になりますので、片富士の様子が反転します。まだまだ一般的に知られていないようですが、地元の方にはおなじみの風景になっているようです。撮影しながら思ったことは、小岩井の一本桜にも負けない名所になりそうだなと思ったことでした。
まとめて特集を組むには内容的にこれからですが、「岩手の一本桜あれこれ」とタイトルを付けて今後充実させていきたいと思います。(※2010.05.27作成)
一本桜シリーズ、しばらくお休みしていましたが2012年5月から再開いたしました。たまたまでしたが、ネット検索から全国版「名桜・古桜・一本桜」ガイドを発見し、岩手を検索したら私の周辺にかなりの古木があることが分かりました。嬉しいことに、地図と緯度経度が明示されています。地図でははっきりしない場所でも、緯度経度のデータをナビに入力すると近くまで行けます。現場に着いたら、周囲を見渡して古木を発見すれば良いのです。
どうしても見つけられない場合は、近所の方にお聞きするのが最良でした。ガイドに表示されている正式な場所(地名等)が、地元の皆さんには別名で呼ばれていることがあるからです。また、桜は開花時期が集中しますので、その場所を訪れ撮影するのもかなり大変です。どうやら長い期間がかかりそうです。(※2012.05.04追加編集)
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